異世界でも職業:ヘルパーです。~利用者様は元・伝説のパーティー!?~⑧

初めて見る魔法

「喰らえ!フロガムーマ!」

全裸の老人が指先に火影を広げながら呪文のような言葉を僕に投げかけた。

「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

炎はまるで巨大な手のように僕へと伸ばしていく。

熱い!なんで僕が……!?僕はヘルパーとして来ただけなのに……悪夢だ!夢であって欲しい!死にたくない!

 

助けて!

 

「シルプリュス!」

遠くで高く澄んだ声が聞こえた。

「……大丈夫ですか?」

一瞬の間を空けて、その声は近づき僕のまぶたを開かせた。

「……」

どうやら僕は死んでいないようだ。

「……えっと、フラウさん?」

「えっ!なんで私の名前を知っているの?」

拓けた視界に映るのは見覚えのある若い女性、名前も覚えていた。

「それはダンノさんが……って、あれ?僕、火に焼かれたかと」

そうだ、僕はとっくに黒焦げになっているかと思った。しかし、今、熱さすら感じない。

「消したわ。お父さんがあれを唱えたのがドア越しに聞こえたから……間に合ってよかった」

「消した?……スゴい、魔法みたいですね」

「魔法みたいって……みたいじゃなくて、魔法だもの」

この時、フラウさんの言葉にまだ僕の頭は追いついていなかった。

「は?」

「フラウ、邪魔をするな!こやつはヘルの手下じゃ!わしが討伐してくれるわ!」

すっぽんぽんのダンノさんが杖を捨て、走り出した。っていうか、走れるのかよ!

「ダンノさん!落ち着いてください!」

転倒されると困る。なぜなら、

「事故報告……よりも、ダンノさんの安全が第一です!転んで骨折でもしたら大変ですから!」

「うるさい!わしを侮るな!」

ダンノさんは止まらない。これだけ元気なら介助しなくても入浴できるような気もしてきた。

って、そんなこと考える場合じゃない。

「今度こそ仕留めてくれるわ!行くぞ!フロガムー……!!」

ダンノさんの途切れた呪文と空を切るつま先が、次に起こる事態を物語った。

「危ない!」

僕はとっさにダンノさんに向かった。

「ぬおおぉぉっ!」

「お父さん!」

「うっ……!!」

腕に重さがドサッとのしかかって、思わずうめいてしまった。

「もう、お父さん、言わんこっちゃないんだから!」

フラウさんが僕のほうを見て怒る。正確に言えば、僕が受け止めたダンノさんに向けて怒っている。

「離せ!この悪魔め!」

「わっ!ダンノさん!暴れないでください!いてて!」

か細い手足でも抵抗されると痛いものだ。だからといって、僕が力を込めるとダンノさんにケガをさせてしまうかもしれない。

「ズワンテ」

「うおっ!」

「ぎゃっ!」

フラウさんの一言で、ダンノさんが崩れた。いや、力が抜けたのだろうか。それとも、重くなった?僕も支えきれず下敷きになった。

 

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