異世界でも職業:ヘルパーです。~利用者様は元・伝説のパーティー!?~⑦

炎と裸の老人

「なんじゃ!おぬしは!?」

この聞き覚えのない渋く掠れた声の正体を、

「檀野さん……ですか?」

探るように尋ねる僕の目に飛び込んできたのは、

「……わしはボンヌ・ダンノじゃ」

一糸まとわぬ老人の裸体だった。

「!!……ボンヌ……ダンノ?」

日本人じゃないのだろうか?だが、僕と会話できている。そして、もう裸!

「おぬしは何者じゃ?」

「あ、僕は訪問介護ステーション『なつめ』から参りました。升子瑛斗と申します」

「ホウモン?カイゴ?ステーション?ナツメ?マスコエイト?なんじゃ?訳が分からん」

「えっと……まず僕の名前は升子瑛斗です。ダンノさんの入浴のお手伝いをするために来ました」

「入浴の手伝い?いらん!知らない人間の世話になるほどわしは衰えてないわ!」

そう言われて、改めて目の前にいるダンノさんを見てみると……まぁ、たしかに、杖を使ってはいるが、しっかりと立位を保っているし、おそらく歩行も入浴する分には大丈夫だと思う。それにしても肋骨や大腿骨が浮くほど痩せているのが少し気になる……食事は充分に摂れているのだろうか。肌の発疹や痣は目立たない。陰部もかぶれはなさそうだ。

「何まじまじと見ておる!」

「あ、すみません」

ダンノさんは陰部を手で隠した。つい職業柄、僕は利用者の体の観察をする癖がついてしまった。

「ダンノさんが裸なのは入浴をするためじゃないんですか?」

「……そうだが」

「それなら、行きましょう?僕は娘さんから頼まれて来たんです」

「フラウが?そういえば、フラウはどこへ行ったんじゃ?」

あの娘さんはフラウというのか。やっぱり外国風の名前だな。

「さっきまで僕を案内していたので、家の中にいると思います。娘さんと2人でお住まいなんですか?」

「そうじゃ。ランジュは数年前に病に伏せて……」

「そうでしたか……」

さりげなく少しずつダンノさんの背景も紐解いていかねばならない。情報がまだ少なすぎるからだ。

「それなら、尚更、娘さんが心配して僕を呼んだのだと思います。僕はヘルパーです。ぜひ、ダンノさんの……」

なんじゃと?ヘル、ぱぁ?……さてはおぬし、地獄の使者か!冥界の女王ヘルの手下か!?

ヘルパーというワードに、ダンノさんの何かを呼び覚ましたようだ。

えええぇぇぇぇ!?なんですか!?それ!?たぶん、いや、絶対違いますうううぅぅぅ!うわあぁぁぁ!手から火ぃ噴いてますけどおぉぉぉぉ!」

僕は絶叫した。

ダンノさんがなぜ怒り出したのかわからない。しかし、それよりも、

火を繰り出す利用者は初めてだ!

 

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