異世界でも職業:ヘルパーです。~利用者様は元・伝説のパーティー!?~①

合コン、泡になる。

「升子瑛斗(ますこえいと)!22歳!ヘルパーやってます!よろしくお願いします!」

僕はごく簡単な自己紹介をしただけだった。

「……」

「……」

「……」

それなのに、時を止めてしまったかのような静けさがテーブルをはさんだ。

「あれ?僕、何か変なこと言いました?」

恐る恐る目の前に座っている女の子に訊いてみた。すると、彼女は笑顔を引きつらせて、

「だって、ヘルパーでしょ?」

と、僕に訊き返した。

「そうですけど……」

「今日は医療系男子が集まるんじゃなかったの?」

「え!?」

「だから、医者とか……せめて、看護師が来ると思っていた」

「は?」

僕は目線を前の女の子から隣の男に移す。

「伊藤、どういうこと?僕たち医療系というよりは福祉系だよね?」

「……升子がいきなりバカ正直に言うとは思わなかった。ヘルパーっていうと女の子ウケ悪いだろ。ほら、この空気よ」

伊藤のため息が大きく聞こえた。たしかに、これは合コンという楽しいはずの飲み会だが、まるでお通夜のようになってしまった。

「僕はヘルパーという仕事がそんなに悪いと思わないけどなぁ」

「それはお前が変わってんだよ。俺とかは最初はできるだけ伏せたいね」

「伊藤はヘルパーじゃないじゃん。特養勤務じゃん」

「介護職であるのは同じだ」

「あの……」

僕と伊藤が話しているところに、先ほどの彼女が割って声を掛けた。

「話が違うので、帰ります」

「介護職はちょっと……なので。ごめんなさい」

一人はムッとして、もう一人は申し訳なさそうにしながら椅子から立ち上がろうとしている。

「え?なんで?介護職はダメなんですか?」

思わず僕は尋ねてしまった。しかし、

「……」

「……」

女の子たちは答えずに、そそくさと去っていった。

「……おい、升子」

伊藤の声が低くなる。

「この飲み代、全部お前出せよ」

「……わかった」

飲みかけの酒が入ったグラス、出揃ってない料理、四人掛けの席に並んで座る男二人。この状況を作ったのは僕だ。

「あーぁ、今日は失敗した。口裏合わせておくんだった」

そうつぶやきながら伊藤も立ち上がったので、帰るのかと思いきや、

「しょうがねぇなぁ。飲み物も料理ももったいないし、お前と飲むのも久しぶりだからな」

僕と向き合うように座りなおした。

「まぁ、とりあえず……お疲れっす」

そして、気持ちを切り替えるかのように、伊藤は自分のグラスを僕のに軽くぶつけた。そのはずみで、カシスソーダの細かい泡が僕の手の中で踊りだした。

 

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