私が知らなかった一日。後編

デイサービスでの実習体験にて、いよいよ利用者様御一行が到着した。

「おはようございます」

挨拶しながら、職員に荷物を預けてぞろぞろと席に着く。そんな利用者様たちの足取りは意外と軽く、素直だった。

私が見てきた介護の風景は壮絶なものが多くて、それはデイサービスでも同じだと覚悟していたのが、拍子抜けした。

しかし、だからといって、デイサービスが楽なのかといえば、私にとってはそんなことないと思う。

「みなさん、なぞなぞクイズのお時間です!テレビ画面に注目してください」

「今日は○○さんのお誕生日です!おめでとうございます!○○さん、お花が好きでしたよね?実は調べてきたんですよ、誕生花と花言葉を。それは……」

「○○さんのカラオケの十八番は○○○○でしたよね?デュエットなら私と唄いましょう」

場面場面で職員のコミュニケーション力の高さが光る。私はただただ圧倒された。よくもそんな機転のきくことが次から次へと。

だから、利用者様は笑顔になっているんだ。

「ここはあずましい(心地良い)ところでの、通うのが楽しみだじゃ。あんたもここさ働きへ」

ひとりの利用者様が屈託なく笑っておっしゃった。

デイサービスは、事業所の工夫もあってか、始終明るい雰囲気で包まれており、それが利用者様たちにも伝わるようだ。

あくまでも、一日実習体験として少しお手伝いしただけの感想であって、実際に深い部分まで知ると見方が変わるのだろう。

一日だけだったけど、知らなかった一日は、温かい時間が流れていた。